人が行動するとき、そこには何らかの目的があります。ビジネスでも同じです。
今やWebサイトを開設・運営している企業は珍しくありませんが、その目的は何でしょうか。
そんなことは決まっているじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、中には、「何の目的でWebサイトを開設するのか」ということが明確でない企業も多いのです。
目的が明確であり、その目的に合わせた運用をきちんとしているWebサイトは、ビジネスに良い影響を与えてくれますが、Webサイトを開設すること自体が目的になっているようなWebサイトは、失敗するリスクが格段に高まります。
本記事では、企業におけるWebサイトの目的、そして目的が不明確な場合のリスクについて解説します。
企業がWebサイトを開設する目的
多くの企業が人手や予算をかけてWebサイトを開設し、運用しているのは、もちろん、自社のビジネスに良い影響をもたらすことを期待するからでしょう。
企業Webサイトは、個人が趣味で運営しているWebサイトほど手軽なものではありません。
開設するにも、運用するにも、人手や外注予算など相応のリソースを割く必要があります。
そして投入したリソースに見合うだけのビジネス効果を期待しているはずです。
では、そもそもWebサイトの具体的な目的や方向性は何でしょうか。
以下に、その主な目的を5パターンに分類して説明します。
いずれか一つに当てはまるパターンもあるでしょうし、いくつかのパターンを兼ね備えていることもあるはずです。
会社のことを知ってもらうため
Webサイトを開設する目的の1つ目は、「自社のことを広く知ってもらう」ことです。
社外の人間にとって、ある企業のことを知る方法は、そんなに多くありません。
有名な企業であれば新聞や雑誌などでどんな企業かを知ることもできますが、ほとんどの一般の企業の場合、「パンフレットをもらってきて読む」「電話して問い合わせてみる」「開催される会社見学を利用する」といった、あまり手軽とは言えない方法に頼らなければ、何をしている会社なのか、経営者はどんな考えをもっているのかなどを知ることはできないものです。
最も手軽なのが、「その企業Webサイトを閲覧する」という方法です。
誰の助力も必要とせず、空いた時間にちょっとアクセスするだけで、その企業がどんな企業なのかを知ることができる、利便性が高い方法です。
そもそも、なぜその企業について知りたいのかというと、例えば以下のようなニーズがあります。
・何らかの理由で名前を聞いたことがある企業について興味を持った
・知り合いが勤めている会社について調べたい理由ができた
・企業間での取引で相手企業としてピックアップされている
今ではWebサイトを持っていない会社の方がマイナーな存在になりました。
Webサイトがないと、何か社会の裏のビジネスを行っている怪しい会社だとか、Webサイトを掲載するまでもない小さなビジネスしか行っていない会社なのではないか、というマイナスのイメージを持たれてしまうでしょう。
自社についての情報を開示するだけでなく、ネガティブなイメージを持たれないためにも、Webサイト開設は必要なのです。
問い合わせを集めるため
Webサイトを開設する目的の2つ目は、「自社への問い合わせを集める」ことです。
企業にはさまざまな問い合わせが行われます。
あらゆる問い合わせはビジネスにとって重要な意味があります。販売や契約といったビジネスアクションにつながる第一歩になり得るからです。
しかし、問い合わせのための手段が、今どき、代表番号への電話や住所への郵便物だけだったら、あまり多くの問い合わせを集めることはできないでしょう。
また、前項に書いたように、そもそもその会社がどういう会社かということがわからないのですから、問い合わせるようなことも起こらない可能性が高いでしょう。
Webサイト自体があれば、その会社がどんな会社なのかということを表すことができるだけでなく、問い合わせの窓口とすることで、電話や郵便などよりも手軽に問い合わせられるようになります。
商品を販売するため
Webサイトを開設する目的の3つ目は、「自社の商品を販売する」ことです。
Webサイトがあれば、そこで商品を販売すること(いわゆるネットショップ)も可能になりますし、Webサイトで商品を宣伝することで、実店舗での商品販売を宣伝することもできるようになります。
商品を売りたいだけなら、自社Webサイトを立ち上げなくても、大手のショッピングモールやECサイトに出店すれば実践できます。
しかし、外部のモールやサイトで商品を売るためには手数料を支払わなければなりませんし、そもそも大手ショッピングモールなどは競合がひしめき合う戦場ですから、自社をアピールするためにはそのための宣伝作戦を展開しなければなりません。
自社のWebサイトでの商品販売や販促は、自社商品だけをアピールすることができる専門のメディアになります。効率よく商品販売につなげることができます。
顧客を開拓するため
Webサイトを開設する目的の4つ目は、「顧客を開拓する」ことです。
具体的には、開拓するためのリスト、例えば「顧客情報」「見込み客のメールアドレス」といった、将来的に自社のビジネスの発展につながる情報を手に入れられるのです。
こうしたリストを入手することは簡単ではありません。
世の中には「名簿屋」という商売があり、業種ごとや地域ごとのリストを販売している業者があります。
なぜそんなビジネスが存在しているかというと、リストを入手するのに非常に手間がかかったり、面倒だったりするからです。
Webサイトを開設し、資料請求先を設けたり、メルマガの申し込みフォームなどを設置すれば、そうしたリストを入手できれば、そのリストに対してDMを送付したり、訪問したりすることができるようになります。
名簿屋のリストと比べると、自社に関心のある人のリストですから、その価値はずっと高いものになります。
もちろん、そのリストの全員が取引先になるとは限りません。
しかしそのうちの数%は確実に顧客化につながる情報になるはずです。
そのためには、リストの絶対数を増やす作戦が理にかなっているのです。
人材を確保するため
Webサイトを開設する目的の5つ目は、「人材を確保する」ことです。
現代の求職活動にインターネットは欠かせません。
求職者の多くは、応募先を選定するために会社の情報をインターネットで調べて研究し、面接での自己アピールの強みにします。
自社Webサイトなら、大手求人サイトのように文字数や写真数の制限を気にすることなく、自社について思う存分説明・アピールすることができますし、人事部門直結のエールフォームを設置して採用エントリーできるようにしておけば、最短のクリックで応募することができて取り逃がしを最小化できます。
ディプシーからのアドバイス
現代の企業活動してWebサイトを持つことは比較的「当然なこと」の1つであるといえます。
Webサイトがないと「企業としての実態がないのでは?」と怪しまれてしまう可能性も否定できません。
目的を明確にせず
Webサイトを開設するリスク
Webサイト開設に限らず、目的がはっきりしていなままで行動しても、ろくなことはありません。
そもそも目的が不明なのですから、成功なのか失敗したのかすらはっきりしません。
期待した通りの効果を得られない
目的を明確にせずWebサイトを開設しても、そのWebサイトが企業に良い効果を与える可能性は低いでしょう。
本来、企業がWebサイトを開設すると、さまざまな効果が得られます。
例えば「自社のことを広く知ってもらう」「自社の商品を宣伝して販売する」「自社の資料請求や問い合わせの件数を増やす」といったことです。
いずれもその企業のビジネスを発展することにつながります。
しかし、何を期待するかという目的にマッチした方法で、Webサイトを開設・運営しなければ、その通りの効果は得られません。
「工具」を例に説明しましょう。
工具には「切断する」「釘を打ち付ける」「ねじを締める」といった使い道があり、例えば「木材を切りたい」なら、ノコギリなどの工具が適しています。
しかし、何をしたいのか目的を告げずに「工具を渡してほしい」と言っても、何の道具を渡せばいいのかわかりませんよね。
目的を明確にすることが大事なのは、そういう理由なのです。
Webサイトも同じで、例えば「自社の商品を販売したい」という目的がはっきりしていれば、それを達成するために「商品の特徴や魅力を説明するページ」や「商品を販売できるページ」を作るという方向性が決まってきます。
その場合、「企業の情報や理念などを説明するページ」や「求職者のエントリー用ページ」を作ることは、商品を販売するという目的を達成することができないので、目的と方向性がマッチしなくなってしまうのです。
時間がかかる
目的を明確にしないままWebサイトを開設・運営しようとすると、途方もなく「時間がかかる」という事態に陥ってしまう可能性が高いでしょう。
ひと昔前は、Webサイトを作るには専門的な知識が必要でしたし、そういう知識がある人材も少なかったのですが、最近ではテンプレートなどを用いて短時間で見映えのするWebサイトを開設できるようになりました。
しかし、だからといって企業Webサイトを簡単に作れるようになったわけではありません。
目的を明確にせずWebサイトを準備すると、おそらく想定以上の無駄な時間がかかることになるでしょう。
なぜなら、何を達成すればゴールなのかという目的を決めていないので、なんとなく総合的に目的を達成できるような大がかりなWebサイトを目標にしてしまいがちだからです。
どうすれば正解なのかという問題が起こるたびに、責任者に質問しないと進めることができないために、それも無駄な時間を増やすことになります。
目的が明確であれば、それに応じて最適化したWebサイトを作るだけの話ですから、そのような無駄は発生しません。
投入したリソースが無駄になる
目的が不明確なWebサイトは、最終的に無駄な存在となり、せっかく投入したリソースを丸ごと無駄にすることになる可能性があります。
多くの場合、一度作ったWebサイトを修正していくことは、新たにWebサイトを作るよりも大きな手間がかかります。
無目的に作ったWebサイトが曲がりなりにも完成した後に、新たに目的が設定された場合、そのWebサイトをそれに合わせていくのは大きな手間になります。
たいていの場合、一から作り直したほうが早いケースが多いのです。
人手をはじめさまざまなリソースを投入してせっかく作ったWebサイトですが、それまでに投入したリソースは丸ごと無駄になっていまいます。
ディプシーからのアドバイス
Webサイトの形式は、求める目的に応じて決める必要があります。
目的が複数あれば、それらの目的に必要な機能を1つのWebサイトに集約できますが、煩雑化しないように注意しなければなりません。
目的に合ったWebサイト
制作会社の選び方
前項で、目的が決まっていないWebサイトを制作するには時間がかかると書きました。
目的がなければホームーページは作らないほうがマシとも言えますが、ただ、いずれにしてもWebサイトを制作するには、どうしても一定の時間がかかります。
社内の貴重な人手を割くのを惜しむのなら、「Webサイト制作会社」という専門家にWebサイトの開設や運営を任せることも選択肢に含めるべきでしょう。
その場合は、Webサイト開設の目的にしっかり対応できる業者を選ぶべきです。
具体的に、どのような観点でWebサイト制作業者を選べばいいのでしょうか。
目的をきちんと理解できる
まず、Webサイトの目的をきちんと理解できる業者に依頼することをおすすめします。
Webサイトを開設・運営する目的によって、制作すべきWebサイトの形式や内容は、さまざまに変わります。
目的に最適化されたWebサイトは、期待以上の効果をもたらしてくれる可能性が高くなります。
そのためには、その業者が目的を共有し、しっかりと実現できることが必要不可欠です。
私たちプロフェッショナルにとっては大変残念なことなのですが、Webサイト制作会社の中には、依頼主の目的を聞き流して自分勝手に解釈し、外見だけを整えたWebサイトを制作するような会社もあります。
依頼時にしっかりと目的をヒアリングし、その目的を依頼主としっかりと共有してくれる業者なら、安心してWebサイトを任せられるでしょう。
目的に合ったWebサイトの制作実績が豊富
その業者のこれまでの制作実績を見て、今回制作するWebサイトの目的に合った機能や特徴を有したものが豊富であるかどうか、ということも選定のポイントです。
Webサイト制作会社自身のWebサイトには、多くの場合、過去の制作実績が掲載されています。
どんな目的、依頼内容によって制作したかというコメントも付されていることがあるでしょう。
それを読んで、これから依頼したい内容(目的)と同じ、または似ている制作実績が豊富と判断できれば、安心してWebサイトを任せられるでしょう。
「作ったら終わり」にしない
Webサイト制作を業者に依頼する際、重要なのは、「作ったら終わり」にしない業者を選ぶことです。
業者によって、制作(納品)後のアプローチは大きく異なり、中には納品後のWebサイト運営にはまったく関与しない業者もあります。
しかし、できる限りプロ目線でのサポートを提供してくれる業者の方が、Webサイトの目的にマッチした運営体制を構築できます。
サポートの内容や費用は業者ごとに異なりますので、費用対効果についても考慮しつつ、アフターフォローを期待できる業者を選定しましょう。
ディプシーからのアドバイス
複数の業者で見積もり・打ち合わせを行い、費用や創業年数なども考慮しつつ最適な業者を選定しましょう。
ただし、費用だけを見て業者を選んでも、費用対効果が良くないこともありますので、あくまでも「総合的に判断する」姿勢が大切です。
【まとめ】
Webサイトは目的を
明確にし、それを理解できる
制作会社に依頼しよう
Webサイトを開設する際は、何を目的にしてWebサイトを開設するのかということをはっきりさせるところからスタートしましょう。
Webサイトを開設すること自体を目的にしてしまうと、時間もかかり、無駄になる可能性も高く、せっかく得られるはずだったビジネスへの良い効果が得られなくなってしまいます。
目的を明確にすれば、その後の制作作業や、制作を外部に委託する場合の業者選び、業者との打ち合わせなども格段にスムーズに進むはずです。
ディプシーからのアドバイス
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