一人接骨院の売上をアップさせる
重要施策

日本人平均より低いかもしれない、一人接骨院の手取り収入

まずは一人整骨院の売上を「患者数×客単価」で考えてみましょう。

整骨院の客単価の全国平均は5,400円程度と言われています。

かりに1日に8人を施術すると1日43,200円。月の営業日を20日とすれば、864,000円ということになります。年間売上は1,0368,000円ということになります。

ただ、すべての施術を一人で行わなければならないわけですから、8人をこなすのはかなり大変ですし、実際には患者が一人も来ない日もあるでしょうから、「月86万円強、年間1,036万円強」という売上はかなり理想に近い数字といえるでしょう。

また、これは売上なので、家賃や光熱費などの固定費を引いた手取りの収入はもっと低くなります。平均的な月額固定費は30万円程度と考えられますので、売上が月86万円強あっても、手取り収入は50万程度、年収で見れば600万円ほどということになります。広告などを行っている場合はさらに少なくなります。

もちろん、開業する場所によって固定費は変わります。地方なら売上50～60万円でも十分に生活していけるかもしれません。逆に都市部で整骨院を開業した場合は、売上が80万円あっても、何とかやっていけるレベルということになります。

ちなみに、国税局の統計によれば、2021年の日本人の平均年間所得は約704万円ですので、一人接骨院の手取り収入は、月86万円強という理想的な施術ペースとしても、日本人平均所得より低くなってしまうことになります。
参考：申告所得税標本調査結果（国税庁）

実際、一人接骨院の手取り収入平均は300～800万円が大半とされています。

ただそれはあくまで平均であり、実際の年収は千差万別です。柔道整復師として雇われていた頃より稼げていないという人もいれば、年収1,000万円以上を実現している人もいます。

接骨院施術のニーズは決して小さくない

ただし、接骨院の需要が小さいというわけではありません。

今や若者に限らずスマートフォンが暮らしに欠かなくなっており、不自然な姿勢で画面を見続ける人が多く、目や肩に負担がかかる日常を送っています。さらに高齢者の数が増え、リハビリなどで定期的に施術を受ける人の数も安定して存在しています。

こうしたことから、 整骨院のニーズそのものは大変安定していると言えるのです。

しかし、整骨院の数は50,919軒と10年前から1.3倍に増えており、鍼灸院や民間資格のサロンなども含めると、コンビニの約2.5倍あると言われています。
参考：全国柔整鍼灸共同組合による調査

そのような膨大な数の整骨院が患者を奪い合っているため、他院に負けないように集客するには工夫が必要です。

一人整骨院の経営を安定させ、継続的かつ安定的に利益を出していくためには何をすべきか、次項以降で施策をアドバイスしていきます。

一人整骨院の売上を「患者数×客単価」で考えるなら、患者数を増やしていくことが売上アップにつながります。

たとえば既存の患者さんから口コミや紹介をもらったり、近隣のエリアにチラシを配布したりするのは効果的な集客方法です。

さらに、より本腰を入れるなら、次のようなオンラインマーケティングもおすすめです。

SEOの観点で整骨院のホームページを作る

整骨院を探している人の多くは「（地域名） 整骨院」、「（地域名） （症状）」で検索を行います。そうしたキーワードをもとにホームページを最適化することをSEOと言います。

患者が検索したワードで上位表示を実現できれば、ホームページを訪れる人が増え、見込み患者が増えることになります。

また、ホームページでは、患者に高品質な治療と専門的なサービスを提供していることを伝え、信頼を築きます。たとえば他院では治せない症状を改善できる、というポイントを作ることができれば、患者は必ず選んでくれるでしょう。

専門的な知識に基づくブログやコラムを掲載したり、SNSなどでの発信を行うことで、ファンを作ることができれば、大きな集客力になります。

Googleビジネスプロフィールを最適化する

Googleビジネスプロフィールとは、Googleが無料で提供しているビジネスオーナー向けの情報管理ツールです。

各項目をもれなく正確に埋め、画像も積極的に掲載しましょう。営業時間なども最新に保ってください。情報を充実させると、Googleマップ上で自院の情報が上位表示される可能性が高くなります。

ビジネス名や住所、電話番号の表記をホームページ表記に合わせる必要があるので、注意してください。

Googleビジネスプロフィールには「投稿」機能がありますので、自院に関するクチコミを集めることができ、さらにそのクチコミに返信することができます。

リスティング広告を行う

リスティング広告を行うことで、自院のホームページへのアクセスをすぐに増やすことができます。業界として見れば、広告費にお金をかけている整骨院はまだ少数ですから、適切な広告費をかければ競合に勝てる可能性もあるでしょう。

SEOと同じように指定したキーワードで広告を申し込めばすぐに反映されます。広告が表示される位置は検索1位の上なので、即効性という点で非常に優れています。

ただし、あくまでもお金を払って表示しているものであり、中断すると集客効果が0になるため、広告依存に陥りがちです。広告料金もバカになりません。

リスティング広告は、ホームページのSEO施策の効果が出るまでのつなぎとして行うのがおすすめです。

一人整骨院の売上を「患者数×客単価」で考え、患者数を増やすなら、新規の患者が増えても継続的な売上アップには結びつきません。リピーターになっていただき、繰り返し通っていただく患者が増えれば経営は安定します。患者の定着率がアップすることが他院との差別化ポイントになり、売上アップに貢献します。

一般に、リピーターを増やす方が広告の費用対効果も高いと言われています。かけられるコストは限られていますので、リピート率を上げて効率良く集客しましょう。

リピーターを増やす施策

新患や再初診で来院した患者に来ていただく施策は、新患の集客とは異なる施策が必要です。

たとえば、来院へのお礼メールや、数日後に「痛みの具合はどうか」といったアフターフォローのメールを送るという施策です。

リピートした方が使えるクーポン券をプレゼントするのもいいでしょう。

このように「リピートする理由」を患者に提供することにより、もう1回行きたくなる整骨院を実現することができます。

また、「最近来ていない患者」の再診を促す施策も検討しましょう。

定期的な身体のメンテナンスを促したり、新メニューを紹介したり、キャンペーンを案内したりして、自院の存在を忘れられないようにアピールしましょう。

さらに、ホームページにオンライン予約システムを搭載したり、電話予約をしやすいようにするなど、利便性を向上させて、リピートしやすい整骨院にしていきましょう。

顧客サービスを向上させ、再来院を呼び込む

ただ集客策を打つだけでなく、 そもそも顧客サービスを向上させて、患者がまた来たくなる整骨院にしていくことが重要です。

そのためには、施術時に丁寧なカウンセリングと説明を行い、患者の症状や治療内容を丁寧に説明し、信頼関係を築くことが必要です。

メールで質問できる仕組みを作って、それに迅速に返信したり、フォローアップすれば信頼性を高めることができるでしょう。

また、受付スタッフがいる場合は、教育によって接客スキルを向上させることで、患者がリピートしたくなるようにできます。

以上のこと全般について、患者にアンケートをとって、意見やフィードバックを収集し、サービスの改善しつづけることをおすすめします。

患者数を増やすといっても、一人でこなせる施術数には限りがあります。一回にかかる施術時間は平均1時間程度でしょうから、終日開いていても最大10人程度の患者にしか施術できません。

また骨折や脱臼・捻挫・打撲などの保険診療で来院する患者数は限られていますので、保険診療だけではなかなか売上は上がりません。

そこで、一人整骨院の売上を「患者数×客単価」で考えるなら、施術スキルを高め、客単価（施術料金）を上げるなら、保険の対象外であり自由度を高くできる自費治療のコースを作るのがおすすめです。

保険診療と異なり、自費診療の内容や料金設定は自由ですから、たとえばスマホの見過ぎによるストレートネックを改善できるコースや、デスクワークをしている患者向けのコースなどのような、特定の症状に特化したメニューが考えられます。また専用のテーピングや包帯などを販売するなど、独自性が高く、収益率の高いメニューを提供することで、集客や利益向上を期待できます。

こうした地道な努力が客単価アップにつながります。

患者の悩みに寄り添ったプランであれば、顧客の満足度やリピートにも繋がります。

整骨院は、地域に根ざしたビジネスです。

近隣に住んでいたり、通学・通勤していたりする方が患者というお客様になり、通っていただくことになるので、GoogleビジネスプロフィールなどのローカルSEO施策が重要になります。

地域コミュニティとのつながりを強化するには、地域のイベントや健康フェアなどに積極的に参加するのが効果的でしょう。また、地域の特性や、地域の需要に合わせたサービスやキャンペーンを展開し、地域住民に価値を実感してもらえるようにすれば、「あそこの整骨院さん」と呼ばれるようになり、集客には有利になるはずです。

冒頭にも書いたように、一人整骨院は全体の6割を占めており、珍しいものではありません。

人件費がかからないのは一人整骨院の大きなメリットですが、一人で整骨院を回し切るのは大変です。

やはり一人では無理があるのかもしれません。

中には受付まで手が回らず、施術中は電話を取れないからといって、留守電にしていたり、恒常的に会計で患者を待たせてしまっているような整骨院もあるかもしれません。

電話や受付窓口は、整骨院に来院した患者が最初に顔を合わせる存在ですから、それをおざなりにしてしまうと、いくら施術内容が良くても、信頼を勝ち取ることは難しいでしょう。せっかくの患者さんも離れてしまいかねません。

経費がかさむのをやむを得ないことと考え、パートやアルバイトでもいいので、受付専用のスタッフを雇用することをおすすめします。

また、ただでさえ忙しいのに、それに加えて、本記事で解説したようなオンラインマーケティングなども行っていたら、疲れ果てて倒れてしまうのではないかと心配です。

何よりも大切なのは、施術のクオリティを高めることで、それが確かであってこそ集客も効果的にできるようになります。

まず第一に、できるだけ施術に集中できる環境を整え、施術には直接関わらないが重要な業務を外部に委託しましょう。

たとえば煩瑣な経理業務は税理士に依頼したり、SEOなどホームページを使った集客はプロのホームページ制作会社に任せたりすることをおすすめします。

一人整骨院の経営者にとって売上をアップさせることは死活問題です。

売上が低迷しているとしたら、自院に合った効果的な方法で対策を講じる必要があります。

本記事では、売上アップのために患者数を増やしたり、患者のリピート率を上げたり、客単価を上げたり、地域で親しまれる整骨院になったりする方法について解説しました。

中でもSEO効果の高いホームページを制作するオンラインマーケティングは非常に効果的です。

ただし一人整骨院はとにかく忙しく、そのようなところまで手は回りませんので、疲労困憊して倒れてしまう前に、整骨院専門のホームページ制作のプロフェッショナルである私たちディプシーに相談してほしいと思います。