接骨院の開業には施術の技術だけでなく、法律や経営の知識も不可欠であり、多くの準備が必要です。
本記事では、整骨院を開業するまでの具体的な13のステップを解説し、全体の流れを整理していきます。整骨院の開業を目指す方々が、安心して事業を進めるための参考にしていただければ幸いです。
接骨院の施術管理者になるには
接骨院の開業にあたり、施術管理者として必要な資格や要件を満たしていることが重要です。
整骨院開業には柔道整復師免許が必要
接骨院を開業するためには、まず柔道整復師の国家資格の取得が不可欠です。この資格は、専門学校や大学で指定のカリキュラムを修了し、国家試験に合格することで取得できます。資格取得には、解剖学、生理学、病理学などの基礎的な医学知識と実技を習得することが求められます。
整骨院開業には実務経験が必要
柔道整復師としての免許を取得した後、施術管理者として認められるためには、実務経験の年数が少なくとも3年以上求められます。柔道整復師として保険医療機関で実務に従事した期間も認められます(最低1年間は施術所での実務経験が必要)。この期間中に、施術の技術だけでなく、患者対応や経営的な視点も養うことが重要です。
施術管理者研修の受講
施術管理者として接骨院を開業するためには、2日間の施術管理者研修を受講することも義務づけられています。
この研修では、施術の技術に加えて、法律や倫理に関する知識、経営に関する基本的なスキルなどが学べます。研修の内容をしっかり理解し、施術管理者としての責任を果たせるようにしましょう。
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STEP① 接骨院を開業する前に準備すべきこと
接骨院の開業準備は、成功するための基盤を築く重要なステップです。ここでは、単に開業に向けての物理的な準備だけでなく、どのような施術を提供するのか、どのような患者層をターゲットにするのかといった「接骨院としてのコンセプト」や「経営方針」も含めて考えていく必要があります。
開業前のこの段階でしっかりとしたビジョンを持つことで、患者さんに信頼され、地域に根ざした接骨院を運営できるようになります。
接骨院のコンセプトを立てることは、開業準備の中でも特に重要です。コンセプトは、院の特徴や強みを明確にするものであり、競合他院との差別化にもつながります。
コンセプトを立てる際には、次のような要素について考えていきましょう。
施術の専門性
たとえばスポーツ整骨に特化したり、産後の骨盤矯正に力を入れたり、デスクワークに伴う肩こりや腰痛のケアをメインにしたり、といった専門的な施術を提供することで、ターゲットとなる患者さんを絞り込みやすくなります。専門性が高い施術は、競合他院と差別化を図る上でも有効です。
地域のニーズを把握する
開業予定地の周辺に暮らしている人々のニーズを調査することも大切です。
たとえば高齢者が多い地域では、慢性的な痛みの改善を目的とした施術が求められるかもしれませんし、逆に若い世代が多い地域なら、スポーツや運動に関連するケアの需要が高いかもしれません。
地域に密着した接骨院を目指すためには、まず地域のニーズを把握することから始めましょう。
サービスの特色
たとえば夜遅くまでの施術、予約優先制、訪問施術など、他の接骨院にはないサービスを提供すれば、忙しいビジネスパーソンや高齢者といった層にアプローチできます。
施術以外の部分でも、なんらかの差別化を図ることで、リピーターや口コミを増やすことができるでしょう。
接骨院の雰囲気やデザイン
接骨院の雰囲気やデザインも重要なポイントです。リラックスできる環境の接骨院なら、患者さんも通いやすくなります。温かみのある色使いや清潔感のある内装、快適な待合スペースなど、院内の空間設計に気を配りましょう。
接骨院の外観や看板デザインも集客力に影響を与えるため、しっかりと考慮しましょう。
ディプシーからのアドバイス
開業準備では、物理的な設備だけでなく、患者に提供する価値やサービスの方向性を明確にしておくことが成功への鍵となります。
そういう意味で、接骨院のコンセプトは、競合との差別化や患者へのアプローチを考える上で非常に重要です。
自院の強みや特色を打ち出し、地域のニーズに応えられる接骨院を目指しましょう。
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STEP② 接骨院の事業計画を立てる
接骨院を成功させるためには、綿密な事業計画が必要です。具体的には、家賃や施術メニュー、スタッフの採用、集客方法など、経営に関わるさまざまな要素を考慮しながら計画を立てていきましょう。
家賃: テナントは立地や広さによって家賃が大きく変動します。家賃は毎月の固定費の大部分を占めるため、予算に合った物件を選びましょう。
施術メニュー: 施術メニューはターゲットとする患者さんや地域のニーズを見て決めましょう。基本的な施術に加え、何らかの症状に特化した施術を提供するなど、他院との差別化も意識して決めてください。
施術機器: 治療効果と予算を考慮して施術に必要な機器を選定します。購入するべきか、リースにするかを検討する必要があります。
什器、備品: ベッドや椅子、タオルなど、施術に必要な什器や備品です。これらも予算を考慮しながら揃えましょう。
スタッフの採用: 施術者や受付スタッフを雇用するかどうかを検討します。雇用する場合は、必要な人員とそのスキルを事前に明確にしてください。
集客方法: チラシの配布やSNSの活用といった広告戦略を立てます。開業前にプレオープンを行うことで、地域に認知してもらうことができるでしょう。
保険請求: 接骨院では保険適用の施術も行う場合も多くあります。保険請求の方法を学び、事前に準備しておく必要があります。
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STEP③ 整骨院の開業資金の計画を立てる
整骨院開業に要する資金の調達は非常に重要で、調達のめどが立たないと事業を成功させることは難しくなります。
開業資金は、自己資金だけでなく、融資やリース、親族や知人からの支援も視野に入れて計画を立てましょう。
日本政策金融公庫からの資金調達
政府系金融機関である日本政策金融公庫は、接骨院の開業資金として利用できる有力な選択肢です。低金利で融資を受けられるため、必要書類や条件を確認し、申請を行いましょう。
全国柔整鍼灸協同組合では、少ない自己資金からでも接骨院開業を目指せるように効率よく資金調達するためのサポートや、必要となる事業計画書の作成などをお手伝いしてくれます(「日本政策金融公庫融資実行サポート」)
銀行・信用金庫からの資金調達
民間の銀行や信用金庫も資金調達先としての選択肢となります。
特に信用金庫は地域密着型であるため、地元の接骨院を支援する姿勢が強い場合がありmす。条件を比較して利用することを検討しましょう。
リースで施術機器を調達
施術機器など高額な設備は無理をして購入するよりは、当初はリースで導入してスタートすることも考えられます。初期費用を抑えつつ、最新の機器を使えるのはリースのメリットです。
親族・知人の援助で資金調達
融資を依頼することができない場合は、親族や知人から援助してもらうという方法です。信頼関係をもとに、場合によっては無利子で借り入れることもできるかもしれません。
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STEP④ 整骨院の立地を決める
整骨院の経営を成功させるには、適切な立地の選定がとても重要になります。
まずは地域の人口や年齢層、競合となる他の整骨院の有無を調査し、どのエリアが最適かを検討して、最適な場所を見つけましょう。
実際に現地を歩き、患者さんの層を肌で感じてください。競合となる整骨院を見つけた場合は、その院との差別化ポイントを考えてみましょう。
テナントを選ぶ際には、面積やベッドの設置数、家賃、保証金、退去時の条件など、さまざまな要素を確認する必要があります。また、道に面して看板を設置してもいいかどうか、換気・エアコンの設置状況も重要なポイントです。
前の借主も整骨院であったような居抜き物件の場合は、内装や設備がすでに整っているため、初期投資を抑えつつ開業できるメリットがあります。ただし、設備が古くなっていることもあるので、注意が必要です。
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STEP⑤ 整骨院の内装レイアウト・改装工事
接骨院の内装レイアウトは、患者さんの導線や快適性を考慮して設計しましょう。
整骨院として営業するためには、保健所の定める「構造設備基準」を満たす必要があります。構造設備基準とは、柔整師法、あはき師法等で定められている施術所の構造基準で、接骨院・鍼灸院の施術所は、その基準を満たす必要があります。基準に合った内装工事を行い、適切な環境を整えましょう。
施術所の施設基準
・6.6 ㎡以上の専用の施術室を有すること。
・施術所は室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放できること。ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りでない。
・3.3 ㎡以上の待合室を有すること。
・施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。
自院での施術の流れから、患者さんの動線、施術機器の設置スペース、コンセントの配置なども考慮し、平面図にレイアウトを描いてみましょう。
すでに整骨院を開業している知人や先輩、または施術機器業者などにもアドバイスしてもらい、できれば接骨院の内装を手がけた実績のある業者に相談して、改装工事を進めてください。
ディプシーからのアドバイス
整骨院の運営を円滑にするためには、受付から施術、会計までの院内のオペレーションを事前に検討しておく必要があります。
オペレーションの流れがスムーズだと、患者さんにとってもストレスのないサービスを提供できるでしょう。
まずは、どんな業務内容が多くなるかということを精査してみましょう。
毎日発生することになる業務を効率的に行えるようにしてください。
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STEP⑥ 整骨院の施術機器、備品選び
整骨院の施術機器や備品選びは、その整骨院の品質や効率に直結します。
患者さんに安心感を与え、質の高い施術を提供するためには、機器の選定が重要です。購入かリースかも含め、慎重に選びましょう。
施術機器には、治療用の電気刺激装置、超音波治療器、マッサージベッドなどがあります。いずれも高価な機器であるため、頭から購入しなければならないと決めつけず、業者からリースという選択肢も検討しましょう。
リースは初期費用を抑えることができ、必要な最新機器を手軽に導入できるメリットがあります。ただし、長期的にみれば、購入した方がコストパフォーマンスが高くなる場合もありますので、資金に余裕のある場合は購入することをおすすめします。
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STEP⑦ 整骨院の届出
整骨院を開業するためには、さまざまな届出が必要です。これらの手続きをしっかりと行わないと、保険診療の扱いができないなど、事業運営に支障をきたしますので、計画的に進めましょう。
保健所に施設所開設届を提出する
最初に必要なのが、整骨院の開設届です。これは保健所に提出し、接骨院としての営業許可を取得するためのものです。開設届には、施術所の図面や設備の詳細、施術者の資格証明書などが必要です。
地方厚生(支)局に受領委任取扱いに関わる申し出を提出する
整骨院では、患者さんからの保険請求を代行する形で行うのが一般的です。そのため、管轄となる地方厚生(支)局に受領委任取扱い契約を届け出て、保険請求の代行が可能になるように手続きを行います。社団法人の会員になれば団体協定になりますが、個人で請求を行う場合は、保険請求の際に契約記号番号が必要です。受領委任契約により、各都道府県の知事に承諾を受けていることを示す契約記号番号が発行されます。
共済組合から共済番号を取得する
公務員や自衛官などが加入する共済組合や防衛省の患者さんを受け入れるためには、各組織への届出が必要になります。国家公務員関係の保険者へは、共済組合連盟に申請を行います。また、地方公務員関係の保険社へは、地方公務員共済組合協議会に申請を行います。自衛官関係の保険社に請求をするためには、防衛省に申請を行い、防衛書番号を取得しましょう。
都道府県労働局に労災保険指定医療機関を届け出る
労災保険指定医療機関として登録することで、労働災害に遭った患者への対応が可能となります。労働局に届出を行い、必要な資格を取得しましょう。
管轄の福祉事務所に生活保護法等指定施術機関を届け出る
生活保護を受けている患者さんに施術を行うためには、管轄の福祉事務所に指定施術機関として届出を行います。この手続きにより、生活保護法に基づく医療費の請求が可能となります。
管轄の税務署に開業届を提出
整骨院の開業に伴い、税務署に開業届を提出します。個人事業主として開業する場合は「開業届出書」の提出が必要で、法人化する場合は「法人設立届出書」も提出します。また、消費税の申告などの義務についても確認しておきましょう。
開業届を提出すると、1月~12月までの売上や所得税を計算し、翌年の3月15日までに確定申告を行うことになります。確定申告には青色申告と白色申告がありますが、節税でのメリットが大きい青色申告を選択しましょう。
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STEP⑧ 整骨院の療養費請求方法を決める~個人請求か請求代行か
保険請求を行う上で、特に重要なのが請求業務です。
整骨院の一部の施術は保険適用のため、患者さんの支払いはクリニックなどと同様に1~3割負担になります。
かつては患者さんが施術時にひとまず全額を支払い、後日、患者さんご自身が保険者に申請をして返金してもらう流れでしたが(「償還払い」と言います)、あまりに手間と時間がかかることから、昭和20年代に「受領委任払い」が採用されています。
この方法では患者さんが施術時に1~3割を支払い、残額の請求を後日、整骨院が保険者に対して行うことになります。
この請求は、患者さんごと月単位で行うもので、患者さんの署名が必要になるため、紙の申請書(レセプト)を作成する必要があります。療養費支給申請書が多いと、業務に大きな負担がかかることもあります。
整骨院の療養費(保険診療)の請求方法には、施術者が請求ソフト等を利用して直接請求業務を行う「個人請求」と、請求団体に請求業務を委託する「請求代行」の2通りがあります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自院に合った方法を選びましょう。
個人請求は、施術所自身で保険請求を行う方法です。わざわざ事務スタッフを雇わなくても、自分で行えますが、改定情報なども収集し、対応にミスが生じると返戻などのやり取りが発生して資金繰りに影響が出ることもあります。つまり、コストは抑えられますが、書類作成や事務作業に時間がかかります。一方、請求代行を利用すると事務作業の負担を軽減できますが、代行業者への手数料がかかります。
経営規模やスタッフの人数に応じて、どちらが適しているかを判断しましょう。
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STEP⑨ 整骨院のスタッフ採用
新規開業の場合一人で始められる方も多いと思いますが、30人、40人の患者さんを見込んでいる場合は、受付スタッフや補助スタッフを採用した方がいいでしょう。
施術者以外にも受付スタッフや事務スタッフを採用すれば、患者さんにより快適な体験を提供できるようになります。スタッフを採用する場合は教育にも力を入れ、スキルアップを促していきましょう。
受付スタッフや補助スタッフを募集するなら、求人広告を出すのは求人情報誌がおすすめです。柔道整復師や鍼灸師などの有資格者を募集する場合は人材紹介会社の利用も検討しましょう。
面接時には、給与、労働条件など採用後にトラブルにならないように提示した条件をしっかりとメモしておいてください。整骨院のスタッフは人と接する仕事ですから、できるだけ接客やコミュニケーション能力の高い人材を選ぶのがいいでしょう。
採用後の教育は、経験者か未経験者かで異なりますが、接遇やコミュニケーションのとり方などをしっかり身に着けてもらうようにしてください。
ディプシーからのアドバイス
スタッフ育成のために継続的な教育プログラムを提供しましょう。
スタッフのスキルや知識を高められる仕組みがあれば、定着率もアップします。
たとえば院内セミナーや勉強会など、会議室や休憩室に集まって情報を共有しあったり、外部から講師を招いてセミナーを開催したりすると、スキルや知識の向上だけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながります。
スタッフレベルにあわせて、新人研修・接遇研修・幹部研修などを行うのもおすすめです。
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STEP⑩ 整骨院の集客準備
整骨院で集客を成功させるには、効果的な広告戦略が必要です。
特に開業前後には、集客力を高めるために広告ツールを準備しましょう。また、整骨院のWebサイトを作成し、インターネットを通じた集客も視野に入れます。
広告としては、開院日や施術内容、特典などを明記したオープン時のチラシは、地域住民に接骨院の存在をアピールする重要なツールです。
また、自院Webサイトを作成することで、インターネットからの集客を見込むことができます。予約システムを導入したり、ブログやSNSで情報発信を行うことで、集客力を強化しましょう。
広告以外にも、チラシや名刺、院内のポスター、施術券といった細かなアイテムも準備してください。これらは患者さんとの信頼関係を築くために活用するものです。
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STEP⑪ 整骨院のプレオープン、そして開業
整骨院の開業前にプレオープンを行うことで、地域の方々に院を知ってもらい、実際に来院してもらうチャンスを作ることができます。プレオープンは、オペレーションの確認や、スタッフの動きの確認にも役立つため、開業日当日に備えてスムーズに準備を進めましょう。
接骨院の開業日を迎えたら、しっかりとした準備を経て、患者さんを迎え入れる準備が整えましょう。開業後も患者さんの声を大切にし、サービスの向上を目指して努力を続けることが成功の秘訣です。初めての患者さんには特に丁寧な対応を心がけ、リピートにつながるような施術を提供しましょう。
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【まとめ】接骨院開業までにはやるべきことが満載
整骨院の開業には、多くのステップが必要です。時間軸でみれば、次のようなスケジュールになるでしょう。
施術管理者の資格確認から、立地の選定、開業資金の計画、広告戦略まで、それぞれの段階を計画的に進めることが大切です。スケジュールを立て、各段階ごとに必要な準備を着実に進めていけば、スムーズな開業を実現できるでしょう。
私たち株式会社ディプシーでは、整骨院で集客に成功するための専用ホームページ制作を行っています。
また、制作後の運用アドバイスやリスティング広告、MEO対策の代行なども行っていますので、整骨院ホームページの新規作成やリニューアルをご検討の際はぜひご相談ください!
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